楔が溶けた日
3つ下の弟の雄真にエスコートしてもらった。
本当にいろいろあった。今まで。
私たち兄弟は茨の道を歩いてきた
バージンロードを歩くときに
そんなことを回想してしてしまっては
嗚咽が出るほど泣いてしまうに違いなかった
だからほとんど目も合わせられず
言葉も交わさず
ただただ手を引かれることしかできなかった
何も考えない
何も思わない
何も見ない
そうじゃないと泣いてしまって
真っ直ぐひかるくんの元まで
歩いて行くことが出来なそうな気がした
ベールダウンをしてくれたおばちゃんの目も見れず
込み上げてくるものが
熱く重たすぎて
ただただこちらも俯くことで
嗚咽を堪えることしかできなかった
私の親族が一堂に会して
俯瞰して眺めると
親族だからって大人しくない
圧のある団体で
こんな個性豊かなゲストの中でも
全然負けてない私の親族
濃い血を、感じた
あぁ私戻ってこれてよかった
そして私が命かけてる仕事とかダンスとか
それから私が愛した人や可愛い子供たち
そういう今、私の宝物を親族にお披露目できて
安心してもらえてよかったなと思う
私は母にそっくりで
おじおばにとっては妹で
おばちゃんたちには従姉妹で
そんな母の早すぎる死は
やっぱりみんなの心のどこかに
ずっと楔のように打ち込まれていたんだと思う
そして遺された私たち兄弟に
親はなくなり社会にポーンと
裸で中高生でほおり出されたようなもの
気持ちはあっても現実は
なかなか助けるに助けきれない
本人の力でしか這い上がれないものなんだ
だからこの式はきっと親族みんなにも
重い荷物をおろして自由になる
そういう式でもあるんじゃないかなって思ったんだ